一筆館スタッフ 澤田

先日、長い付き合いになる前職の先輩から思い出に残る品を託されました。
それは、既に亡くなられた旦那様からのプレゼントである万年筆。

パイロット 万年筆 エリートS




まだご結婚する前の若かりし頃。
誕生日プレゼントにアクセサリーはどうかと聞かれ、
そういったものに興味がなく、
筆マメで手紙を書く事が大好きな彼女は、
油性ボールペンでは実現できない、
漢字独特の『トメ・ハネ・ハライ』がきれいに書ける万年筆がいい!
とリクエストしたそうです。

そんな頃に大橋巨泉さんのCMで大流行していたのが、このパイロットの『エリートS』。
1970年代あたりは胸ポケットに収まるようなショートサイズの万年筆が主流で、
持ち運びにも便利。

女性の小さな手にも収まりがよいサイズ感と
ゴールドとワインレッドのツートーンカラーが品もよく、ペン先は今では珍しい流線型の金!

プレゼントに頂いた時は大変喜んだとの事でした^^
当時はお気に入りになったその万年筆で書く事が更に楽しくなったそうです。
そして旦那様にラブレターもしたためた!
、、、というのは私の推測ですが(笑)


そんな思い出がたっぷり詰まった万年筆。

時が経ち、結婚、出産、育児、そして悲しくも早い別れ。

いろいろな人生の経験をして約40年経った現在、
整理してたら出てきたという「エリートS」。

ペン先はインクが付着したまま、長い月日が経っていました。

ペン先はインクで汚れたまま、中のカートリッジインクは蒸発し空でした。
それをまた使って字を書きたい!との事で一筆館で働く私の元へその万年筆はやってきたのです。

一筆館のたくさんのお客様にご購入いただいている筆記具のギフト。
それには各々あたたかな想いがこめられており、
受け取った方も贈った方も、心に残ります。彼女のように。

もうそれはぜひ使えるようにしてさし上げたい!

まずはお水をつけてみました。
40年間の喜怒哀楽の思い出をたっぷり吸い込んだかのようなインクが何日も何日も出ました。

何日もかけてブルーのインクがずっと出続けていました。

それでもまだ出続けるブルーのインク。
水の色が薄くなった最後の方は彼女の涙のようにも感じました。

仕上げにスポイドで中を洗浄して、ようやくきれいにすっきり!
カートリッジインクを装着して試し書き♪
すらすらと書く事ができるようになりました!

当初使っていたものと同じ、ブルーのカートリッジインクを装着しました。

実は昨年、彼女は大病をして入退院を繰り返していましたが、
現在は回復し、自宅で療養しながら前向きに生活しています!

まだ手にシビレが残り、今年の年賀状が書けなかったのですが、
来年の年賀状はこの万年筆で!!と意気込みリハビリに励んでいます^^

病気から勝って復活した彼女が、
これまた復活した万年筆でトメ・ハネ・ハライが存分に活かされた年賀状が今から楽しみです!

そして、こうやってプレゼントにもらった当時とは自分を取り巻く状況は変化しても
何年経っても変わらず愛用できるステキな万年筆、私も誰かに贈りたい贈られたい気持ちにさせてくれた出来事でした♪

エリートS(旧)はボディにお花の模様がありました。

新旧のエリート比べ。一回り大きくなり、ペン先もかなり大きく14金になっています。