昨年秋にナカバヤシ社から発売されたTACCIA「JEANS INK」というインクがあります。ジーンズの経年変色をイメージしたインク(全7種)で、開発担当の方が並々ならぬ「ジーンズ愛」をもって監修したこだわりの万年筆インク…と聞いています。

さてこのJEANS INK、ジーンズと名乗るからには本当にデニム色を再現しているのか気になるところ。今回はその検証をかねてインク名の通り、ジーンズを描きます。

さらに、前回の記事で書いた「出汁」インクも加えて「ヴィンテージ感」の表現まで試みてみました。どうぞ、お楽しみください。

まずは素直にジーンズを描く

下描きを用意します。普通のジーンズとヴィンテージ風ジーンズを比較できるよう、2つ並べます。

使用するJEANS INKは「NAVY BLUE」。
ジーンズの輪郭をとり、少しその輪郭線から隙間を取りつつグルグル線で埋めていきます。気持ち暗くなる部分に多めの線をのせておきます。

水筆で全体に色を伸ばします。この時点ではグルグル線の残りが目立ちますが、気にしなくてOK。

もう一度、NAVY BLUEを重ねます。1回目よりもしっかりとグルグル線を塗りましょう。

1回目と同様に水筆で伸ばします。
このとき、水筆は色の浅いところから深いところに向けて、色を寄せるように伸ばすのがコツです。これでだいぶデニムの質感がでてきます。

色抜きでウォッシュ加工

ジーンズはウォッシュ加工でぐんっと魅力的になります。今回は「色抜き」の技法で色褪せた表現を表現します。

タップリと水を含んだ水筆で、太ももの中央あたりに水をのせます。

5秒ほど放置すると、インクが水滴に溶け出してきますので、その水分をティッシュで拭います。

水をのせた部分の色が良い塩梅で抜けます!大変気持ちの良い瞬間です。

水筆で色の抜けた部分の輪郭をその周りの色と馴染ませると、自然なウォッシュ感がでてきます。

肌を「すなおいろ 壌」で描き、ジーンズの縫い目やボタンを足して完成。
ボタンはPILOT Juice up 0.4 GOLD、縫い目はuni-ball Signo ホワイトを使用しました。

ヴィンテージ感のあるジーンズを描く

今度はヴィンテージ感のあるジーンズです。隣の下描きの上に描いていきましょう。出汁インクとして、引き続き「すなおいろ 壌」を使用します。

出汁インクを全体にのせていきます。輪郭線を描き、ジーンズには満遍なくぐるぐる線を敷きます。

全体を水筆でぼかし、出汁色の完成。

NAVY BLUEをジーンズ部分にのせます。

水筆でのばします。

さらに色を重ねます。

水筆でインクをのばします。普通のジーンズの時と同様に、色を浅いところから深いところへ寄せていくイメージでインクを伸ばしましょう。

「色抜き」の技法でウォッシュ感を出します。

縫い目、ヒゲ加工、ボタンなどをホワイトとゴールドを足して仕上げます。

完成!

いかがでしょう。
ホワイトやゴールドなどの装飾を除いて、たった2色のインクで「普通のジーンズ」と「ヴィンテージ風のジーンズ」の表現ができました。

インク

装飾部分に使用したボールペン

  • PILOT Juice up. 0.4 ゴールド
  • uni-ball Signo 太字 ホワイト

神戸派計画 GRAPHILO

まとめ

JEANS INK。僭越ながらパッケージのイラストは僕が描かせていただいたものです。

ナカバヤシさんからこの話を相談されたとき最初に思ったのは「また青系?しかも全7色?いくら青系インクが人気だからといって、そんな青ばかり作っても…」とかなり否定的な感想を持っていました。
それが実際に描いてみると「ちゃんとジーンズの色になってる!」と驚いたことを今も鮮明に覚えています。同じブルー系でも単色でしっかりとコンセプトを想起させることができるんですね。

万年筆インクは、書き出しから書き終わりまでに濃淡があります。その濃淡の幅の中に表情があり、僕達が見慣れた発色とインクの発色がキチンとリンクすると、そのインクがどんなテーマで作られたのかしっかりと伝わるものなのですね。

「出汁」を利かせて古びた表現をしたり、「色抜き」で擬似的にウォッシュ加工をインクで再現したりと、JEANSをテーマに大変楽しい作画を体験できました。
皆様も是非、試して見てくださいませ。