【美味しそうな紙】3回目はクロッキー紙[MARUMAN クリームクロッキー紙]です。

クロッキー紙というのは…たぶん一般的なイメージとしては薄くて、それなりに安価で、少し風合いがあって、絵やアイデアメモを気軽に描ける紙っていう感じの紙ですよね。画用紙よりも安価で鉛筆に最適化されていて、手帳サイズから木炭紙紙大まで用意されているので、デッサンや絵画のラフなどの作成にとっても適した紙なのです(お財布にも優しい)。今回はそんなクロッキー紙に万年筆で描いてみよう、という企画です。

紙比較:グラフィーロ・クロッキー紙

ペリカン ロイヤルブルーでグラフィーロと比較しました。所感は以下の通り

  • 発色は地がクリーム色なので少し変化します。色が「沈む」というより落ち着く方向で「馴染む」感じ。好き。
  • グラフィーロと比べてかなり薄く、3〜4回くらい重ねると色抜けしてきます。
  • 水筆でぼかすとほどほどに伸びます。
  • インクとの絡みが強いのか、一度ぼかした色を再度水筆でぼかそうとしても余りキレイにはぼけません。
  • 水彩専用紙ほどではないけど水をよく吸います。
  • 濡れている状態で線や文字を描くと滲みます。
  • 書き味はザラザラとすこし引っかかる印象。

試し書きでわかるのはこのくらいでしょうか。ここからは絵を描いてさらにクロッキー紙への理解を深めてみましょう。

クロッキー紙に単色で作画してみる

クロッキーは英語でいう「スケッチ」とほぼ同じ意味でありつつ、日本語では「速写」と訳されることが多いようです。なのでとりあえず単色で、なるべくラフな線で3点ほど描いてみました。

高級感を感じさせない紙質の影響なのか、もったいぶらずに「気軽に」描けます。おかげで失敗を怖れずに筆が進みます。あと、下地のクリーム色が良い塩梅に色を抑えてくれているので不完全な絵でも間が持ちます。アイデアをまとめるときには、こうした軽い感覚を与えてもらえるのはありがたい。スケッチやメモに向いているというのは納得です。

オススメの描き方

その後、色々と検証しまして、万年筆インクをクロッキー紙で活用するのであればこんな描き方が面白いと思いました。

(1)勢い良く線画を描きます

主線は顔料インクのプラチナ カーボンインク ブラックを使用しました(顔料系の黒インクであればだいたい大丈夫です)。

その後、髪の毛と服に好きな染料インク(本作では髪の毛が弁柄色、服がエーデルシュタイン ガーネット)で着色します。

(2)水筆でぼかして完成

顔料系のインク(特にプラチナ カーボンインク ブラック)はとりわけ水に強いため、上から水筆をならしても全くぼけず、染料インクのみぼけます。スピーディなスケッチの線の勢いを殺さずに絵を完成させることができます

では、同様の手法で類作をご覧ください。

<類作01 女性>

<類作02 男性>

まとめ

デッサンにはクロッキー教室というのがありまして、みんなで人物モデルを囲んでポーズを変えてもらいながら、5分〜10分ずつ連続してスケッチをしていくというものです。手早く動きのある物や決まった形のない物の特徴を捉えていくトレーニングなんですけれどもね。短時間に描かなければならないから細かい線を描いているヒマがないんですよ。結果的に長くてリズミカルで勢いのある線で、なんとなくソレっぽい絵が出来上がりましてね、うまく描けると大変格好良いのです。

今回は記事作成のために、結構な枚数の絵を作成しました。その結果、万年筆であっても鉛筆と同様に、クロッキー紙に描く醍醐味は「スピーディ」に「勢いよく」描いていくところにあるのかな?と感じました。気兼ねなく、ドンドン描き殴っていく線には独特の力強さがあり、この紙との相性がとても良いのですね。

僕はそんな絵の描き方を「乱描(らんびょう)」と勝手に呼んでおりますが、無性に描き乱れたい衝動に襲われたときには是非クロッキー紙で次から次へと作画してみるのはいかがでしょうか?きっと新しい快楽がまっていますよ?

今回活躍した「プラチナ カーボンインク ブラック」。一度乾いてしまえば、まず水に溶け滲むことはない、心強いインクです。