今日はモンブランの定番「マイスターシュテュック146」を紹介します。

今まで№144という”嵌合(キャップ)式の万年筆”を使っていましたが、「きつめのペンケースに入れるとキャップが抜けてしまうことがある」「軸が細く長時間の筆記に向かない」という理由から、定番である№146を入手しました。

現行のモンブランマイスターシュテュックは、大きく分けて以下のラインナップになっています。

№149 : 吸入式、サイズが大きい
№146 : 吸入式、軸は比較的太いが、持ち歩けるサイズ
№145 : カートリッジ/コンバータ両用、多少細い
№114 : カートリッジ式、手帳用、極細

キャップは”すべてネジ式”で、実売価格は上になるにしたがって高価となっています。

№146の軸径(太さ)は約13mmで、プラチナ3776センチュリー、長さは146mmでカスタム74とそれぞれ同じくらいです。
太い軸は軽く握って使うことができるため、長時間の筆記にも書きやすく感じます。
長さ「146mm」、型番である「146」と同じです。
ひょっとして他のモデルもそうなのかと思いましたが、違いました。笑
キャップはネジ式なので、きつめのペンケースに入れてもキャップだけが抜けてしまうこともなくなりました。
また、この万年筆は外したキャップを尻軸に挿して使うと筆記バランスが絶妙になります。

私が入手したのは80年代の未使用品です。
私がこのような古い万年筆を手に入れるのは、これまでも再三お伝えしている通り「もったいないから使わないことがもったいない」「万年筆は道具として使われることによりその使命を全うする」という信念に基づくものです。
80年代の万年筆が未使用品で流通しているということは、使われずに保管されていたということです。
したがって私が入手した以上、毎日ガシガシ使ってあげることにします。

80年代と現行の№146は、以下のような違いがあります。
ひとつひとつ比較してみましょう。

1.ペン先
2.ペン芯
3.インク窓
4.キャップ刻印

ペン先

現行はゴールド/プラチナ2色、80年代は全金になっています。
刻印は現行は「4810、14K」、80年代は「4810、14K、585」

「4810」とは、ヨーロッパ最高峰モンブランの標高4810mからとっています。
ちなみにプラチナの「#3776センチュリー」のペン先は、これにならってペン先に日本最高峰富士山の標高3776mが刻印されています。

「14K」とはペン先に14金が使用されているという意味です。
金の場合、何故か24分率で品位を表します。
万年筆のペン先には腐食に強い金が用いられることが多いです。
しかし純金(24金)にすると柔らかすぎてペン先に向かないため、14金や18金などの合金にして、ペン先に適した硬さにしているのです。

では「585」とは何でしょうか?
実は、純金=24金としたときの14金の百分率なんです。
つまり、585とは「金の含有率が58.5%ですよ」という意味です。
14(14金)を24(純金)で除算すると58.3333….となります。
実際は583になるはずなのですが、585と表記する理由をいろいろ調べてみたのですが、結局わかりませんでした。

ペン芯

ペン芯とは、ペン先の裏側にある黒い部分で、万年筆の基本原理である「毛細管現象」をつかさどる重要な部品です。

現行品のペン芯はプラスチックですが、80年代は”エボナイト”という材質が使われています。
エボナイトとは、天然ゴムに硫黄を混ぜて作られた硬質なゴムで、耐酸性、耐アルカリ性にすぐれています。
また強度が強いという特性を持っているため、金管楽器のマウスピースやボウリングの玉に使われています。
かつては万年筆のペン芯や軸に使われていたのですが、エボナイトの生産が減り入手が困難になってきたため、近年の万年筆は樹脂やプラスチックが使われることが多くなっています。

インク窓

インク窓とは、吸入式万年筆だけに存在する機構で、インクの残量を外部から目視確認することができる窓のことを言います。
カートリッジ/コンバータ式の万年筆は、尻軸を外してインク残量を確認することができますが、吸入式は尻軸をそのものにインクを蓄えているため、尻軸を外すことができず外部から目視確認する窓がついているのです。

現行品のインク窓は縦スリットが入っているのですが、80年代の万年筆はスリットが入らないクリアグレーの窓になっています。
インク残量の確認は、スリットが入らない80年代のほうが視認性が良いような気がします。

キャップ刻印

現行品はキャップの刻印が「GERMANY」+シリアルナンバー(9桁)となっています。

これに対し80年代は「W-GERMANY」のみ刻印されています。
「W-GERMANY」とは西ドイツを意味します。
ベルリンの壁が崩壊し東西ドイツが統一されたのが1989年ですので、統一以降は「GERMANY」の刻印になりました。
「W-GERMANY」の刻印があるということは、西ドイツが存在した1989年までに作られた証拠になるわけです。

1989年当時、私はまだ高校生でした。
当時の本業が学業であったにも関わらず、当時は野球に情熱を傾けていたため「ベルリンの壁崩壊」の記憶がほとんどなく、その意味について深く知ったのは実は最近だったりします。笑

当時モンブランの職人はどのような想いで刻印を「GERMANY」にしたのでしょうか。
万年筆の刻印で歴史を感じることできるなんて、何だか不思議な感じがしますね。

シリアルナンバーが印刷されるようになったのは、モンブランの偽物が流通するようになったからだといわれています。
実際私も偽物をつかまされたことがあり、固有であるはずのシリアルナンバーが2本とも同じ番号になっていたことがあります。
※参考記事:【自称工作師が食らう「まがいモン」】

。。。
1950年代に登場したモンブランマイスターシュテュック№146。
今回は現行品と80年代を比較しましたが、他の年代のものもそれぞれ違いがあるようです。
年代毎に違いがある理由は、「書く」という唯一の目的のためにメーカーが長い年月をかけて改善を続けてきたためだと私は思っています。
年代毎の改善の理由に想いを巡らせることができるのも、万年筆のたしなみ方のひとつではないでしょうか。

今回は筆記感に言及しておりません。
その理由は、まだ入手したばかりで私の手になじんでいないからです。

一日も早く私の手になじむよう、この万年筆を毎日ガシガシ使っていこうと思います。
( ̄▽ ̄)T