3

万年筆を使っていると、落としてペン先を曲げてしまったり、どうにも書き味が改善しなかったりすることがあります。
こんなとき、ペンクリニックに行ってみてはいかがでしょうか?

ペンクリニックとは「ペンドクター」と呼ばれる万年筆のお医者様が、無料で万年筆の問題を解決してくれるイベントです。

開催されるのは不定期で、主に大手文具店や雑貨店などです。
首都圏だけでなく、地方の主要都市でも行われています。
どのペンクリニックもあまり大きく告知されることがないので、店頭に足を運んでイベントの開催を知る必要があります。

ペンドクターはメーカーまたは関連会社に所属している方が多く、ペリカンの○○先生、セーラーの○○先生と呼ばれます。
一般的な工業製品の場合、無料で修理を受けられるのは一定期間でかつ自社製品に限られます。
ところがペンクリニックでは、どのメーカーの万年筆でも何年前に入手した万年筆の問題でも解決してくれます。
(一部「メーカー指定あり」の場合もありますが。。。)

2

つまり万年筆業界はペンクリニックを通じて、ユーザーサポートを業界全体で行っている「成熟した業界」といえます。

かつて筆記具の主役だった万年筆がボールペンにとってかわり、今ではパソコンが筆記具代わりになっています。
万年筆を使うことが一般的ではない昨今、われわれ万年筆ユーザーにとって、こうしたユーザーサポートは非常にありがたいです。

4

ところでペンドクターは、なぜ「ドクター」なのでしょうか?

「ペンドクター」というのは肩書きで、実際はそのような国家資格はありません。
でも、持ち主から万年筆の症状を訊き、必要な治療を行い病気を治してくれる。
その治療行為は、お医者様(ドクター)とまったく同じです。

診察のときペンドクターは持ち主に名前や住所を書いてもらい、その人の書きグセを瞬時に判断して治療を行います。

1
書きグセとは、ペンと紙の打角、ペン先の向き、筆圧、握り方。
その観察眼、そして技術力にはいつも感心させられます。
そして、ペンクリニックの素晴らしさを知ってしまったら、たとえ「工作師」を名乗る私であっても、ペン先を自分で治そうとは思わなくなります。

持ち主にとってメリットしかないイベントですので、当然集まる人も多くなります。
ときには長い時間待たなければならないこともあるわけです。
しかし行列で待っている他の人も、当然「万年筆を使う仲間」です。
知らない人同士の会話が始まり、待ち時間を楽しく過ごせることもあります。
ペンクリニック行って、いつも思うことがあります。

診察を終えてペンクリニックをあとにする持ち主の皆さまが、必ず笑顔になっているのです。

大切にしている万年筆がより書きやすくなるわけですから、自然に笑顔になってしまう気持ちは十分わかります。
自分では確認できませんが、おそらく私も笑顔になっているんだろうと思います。
持ち主を笑顔にするイベント「ペンクリニック」、皆さまも足を運んでみてはいかがでしょうか。
( ̄▽ ̄)T