今回は、前回に引き続き、株式会社江戸切子の店華硝さんにお邪魔して、
三代目・熊倉隆行氏にお話を伺います。

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最初に、工房で江戸切子が出来上がっていく様子を
見学させていただきました。

作業工程としては、①割出し → ②荒摺り → ③仕上げダイヤ →
④研磨 → ⑤検品 の順となります。

まず、①割出し です。

1)赤の「色被せ硝子」にペンで下書き
1)赤の「色被せ硝子」にペンで下書き
2)機械にペンを取り付けて台を動かす
2)機械にペンを取り付けて台を動かす
3)底、横線、縦線……と順々に
3)底、横線、縦線……と順々に
4)向かって左側は、色違いの完成品
4)向かって左側は、色違いの完成品
▲インクが硝子にノリやすい(=剥がれない) 「このペンでないとダメ」だそうです 
▲インクが硝子にノリやすい(=剥がれない)
「このペンでないとダメ」だそうです
▲厚紙でできたお手製のメジャー。 コチラ、秘密兵器のようです
▲厚紙でできたお手製のメジャー。
コチラ、秘密兵器のようです



以下、②~⑤の工程です。

▲②荒摺り が終了した江戸切子
▲②荒摺り が終了した江戸切子
▲カッティング用マシーン
▲カッティング用マシーン
▲グラインダーを使っての確かな作業  二代目・隆一氏による③仕上げダイヤ
▲グラインダーを使っての確かな作業
 二代目・隆一氏による③仕上げダイヤ

④研磨 は、企業秘密を含むので、割愛させていただきまして、 m(_ _)m

▲職人さんの厳しい眼で⑤検品
▲職人さんの厳しい眼で⑤検品

▲その際のマストアイテム
▲その際のマストアイテム


これまでの画像で、気づかれた方も多いと思いますが、
華硝さんの江戸切子は、一般的なそれとは、どうも違うような感じが……。
何か秘密があるのでしょうか?

隆行氏によると、江戸切子の仕上げには、
劇薬品(硫酸・フッ化水素など)を使用する「酸磨き」
(※液体に浸し、酸の腐食を利用する研磨)と
熟練した人の手による「手磨き」の2つの方法があり、
華硝さんでは、「手磨き」にこだわっているとのこと。

× 酸磨きは、被せてある色が薄く、カット面の輝きも乏しい
◎手磨きは、被せてある色が損なわれず、カット面の輝きも美しい

時間も手間もかかるけれど、この手磨きによる仕上げこそが、
他の追随を許さない華硝さんの江戸切子の美しさの秘密なのです。

▲「酸磨き」
▲「酸磨き」

▲「手磨き」
▲「手磨き」


続いて、隆行氏に仕事で使う道具について伺います。
上の画像でわかるように、各作業工程で機械を使いますが、
至るところにペンがあり、これは期待できそうです。

まずは、①の割出しで使っていたペン。
インクが剥がれるようなペンでは仕事にならないことは
ここで説明するまでもないですね。
「コレでなきゃ!」という強いこだわりは、
毎日の作業の積み重ねで、必然として出たものでしょう。
こういうこだわり、私は好きです。

次に、⑤の検品時に使用する各色のペン。
これらは、実は、
① 黄:表面の軽いキズを取る
② 赤:磨き残りがある
③ 銀:バフがけ(※カットを整えること)


と、工房内での業務連絡を色で表しているのだそうです。

他者への伝言や指示などは、通常なら付箋やメモを使うところですが、
硝子に貼った付箋やメモに剥がれない保証はありませんし、
その位置のズレは、繊細な硝子細工には大きなダメージとなるでしょう。
でも、ペンで直接硝子にマーキングしておけば、
正確に伝わるのは、間違いないですね。

「現場の力」とでもいったら良いのでしょうか、
何だか、頭をガツーンとやられたような気がしました。

最後に、皆さんがちょっと驚くようなことを1つ。
華硝さんの江戸切子は、ご覧のとおりの繊細な模様ゆえ、
取扱いが難しいと思われるのではないかと推しますが、
意外なことに↓こ~んなことをしても平気なのです。

▲タワシでゴシゴシ
▲タワシでゴシゴシ

ちょっとビックリされたのでは?(笑)

間もなく夏。
涼しげな硝子素材の江戸切子を求めて、
江東区亀戸まで足を運んでみてはいかがでしょう。