まつばやしけいこ

手紙を書くときには、あれこれ気遣うことが多いですね。

とくに目上の方へのあらたまった手紙は緊張してつい敬遠したくなるものですが、これも何度か書いているうちになれてくるはずです。どんな場面でも感じのいい手紙を書いて、円滑なおつきあいができればいいですね。

あらたまった手紙を書く際に気を付ける点

相手の名前を間違えないこと

手紙を書く上でしてはいけないことは、相手の名前や会社名の書き間違えです。名前はその人を表す大事なものですから、メールの署名欄や名刺を確認して。

よく間違えやすいのが、サイトウさんの”サイ”が「斉」「齋」「齊」「斎」、ワタナベさんの”ナベ”が「辺」「邉「邊」」「部」「鍋」など、人によっては何かしらの理由であえて難しい字(旧字)を使っていることがありますので気をつけましょう。

文字や文面の書き方

文字は読みやすい字で丁寧に書きます。

続け字や崩し文字は読めないこともあるので気をつけましょう。誤字脱字のないようによく注意すること。
ひとつのことばが2行にまたがると読みづらいうえに、意味も分かりにくくなります。特に人名や地名、数字、おめでたい言葉などは、2行にまたがらないようにします。そうすると、行末が多少不揃いになりますが、読みやすさを優先させましょう。

二重敬語にならないように

「お話しになられる」のように「お話しになる」「られる」ふたつの尊敬語を重ねて使うこと。

同じ意味を重ねる“重複表現”にも気をつけたい

間違った表現 解説
お体ご自愛ください 「自愛」は「自分の健康・体に気を付ける」という意味なので、「お体に」という部分を付けると、「体」という意味を重複表現していることになってしまう
お中元のギフト 「お中元」も「ギフト」も”贈り物”の意味なので重複表現になってしまう

よく使う尊敬語、謙譲語

相手を敬う尊敬語、自分がへりくだる謙譲語を間違って逆に使うことも多いもの。
一度チェックしてみませんか。

尊敬語 謙譲語
行く いらっしゃる
おいでになる
おでかけになる
伺う
参る
会う お会いになる お目にかかる
言う おっしゃる、言われる 申し上げる
聞く 聞かれる
お聞きになる
お聞きくださる
うかがう
拝聴する
聞かせていただく
見る ご覧になる、見られる 見せていただく
拝見する
いる いらっしゃる
おいでになる
おる
食べる 召し上がる いただく
知る ご存知 存じ上げる
存ずる

便箋の枚数

以前は、文面が1枚だけになるときは、もう1枚白紙の便箋を重ねて出す習慣がありました。

しかし最近ではあまり気にする必要はないでしょう。ただし、あらたまった手紙で気になるような場合には、時候の挨拶や結びを長めにしたり、字配りや行間をゆったりさせたりして2枚になるようにします。

逆に、弔事やお見舞いの手紙では“重なる”ことを避けるため、便箋は1枚におさめるのが無難でしょう。

必着と消印有効の違い

「必着」とは決められた期日までに、郵便物が相手方に必ず届いていなければならないことを指します。
決して締め切り日にぴったりということではありません。

「消印有効」とは、締切当日までの消印があれば、締め切り日のあとに到着しても、有効な書類として扱われます。気をつけたいのはポストに投函する場合は必ず集配時間までに。確実なのは営業時間内に郵便局の窓口で受け付けてもらうことです。

 

特に目上の方へのあらたまった手紙は、つい敬遠しがちですが、大切なのは気持ちを伝えることです。話ことばと書きことばの違いに気を付け、受け取った人に喜んでもらえる手紙を書いてみましょう。どこかに自分らしさを感じてもらえることばづかいや文章で、できれば感じの良いことばづかいで手紙をつづりたいですね。

たとえば、日常の話しことばにはほとんど使われませんが、「お訪ねしたいと思います」を「伺いたいと存じます」に、「○○くださいませ」「○○でございます」と語尾を変えるだけでも丁寧さや優しさが表れ、相手を敬う気持ちがきちんと伝わりそうです。

ぜひ気後れせずに、あなたらしさが伝わる「あらたまった手紙」をつづってください。

 
 


一般社団法人手紙文化振興協会

ライタープロフィール

  • まつばやしけいこ
  • まつばやしけいこ (社)手紙文化振興協会認定 手紙の書き方コンサルタント

    手紙美人にあこがれて手紙の書き方コンサルタントになりました。 手紙には、紙を選ぶ、筆記具を選ぶ、文章を考える、文字を書く、切手を貼るなどの5つの構成要素があります。これらを知ることでさらに楽しみ方が広がります。思わず手紙が書きたくなるようなヒントもお伝えできればと思います。言葉と感性を磨ける奥深い手紙文化をもっと身近に感じてもらえたら嬉しいです。

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