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私は、クロスのエッジというボールペンを見ると嫉妬と羨望の入り混じった感覚を覚える。
それはこのメカニックで格好いいボールぺンが私には似合わないとよくわかっているから。
そこで、こんな妄想をした。

私には恋人がいて、ある日二人でカフェデートをすることになった。
お互い大学生で試験が近い。
ショッピングをしたり公園を散歩したり、そんなデートがいいのだけれど、勉強の時間を確保しなければいけない。

勉強の合間、コーヒーのおかわりや軽食を買うため席を立つとき、「おかわりいる?」「甘いもの買ってこようか?」と3時間向かい合って座っていても一言二言しか話さないのだけれど同じ空間にいることが嬉しくて真剣に考える彼の伏したまつげを盗み見てその長さを羨むのである。
時折、見とれて気付かれてしまうのだけれど私はとっさに視線をテキストに落として見とれてなどいなかったかのように振る舞う。

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ノートに書き込む彼の手には私がプレゼントしたクロスのエッジボールペンが握られている。
付き合い始めたばかりのとき、ペンをプレゼントしようと考えたものの油性ボールペンがいいのか、水性ボールペンがいいのか、はたまたマーカーがいいのか悩んでセレクチップローラーボールと呼ばれるリフィルの種類を選べるこのボールペン にした。
セレクチップローラーボールはリフィルが油性、水性、マーカーと選んで入れ替えることができる物で、一般的に選べないものが多い中嬉しい仕様。
エッジは太軸で、手が小さい私には似合わないけれど彼の男性らしい手にはきっと似合うと購入を決意した。

芯はスライド式で、ノック式でも繰り出し式でもないメカニックな雰囲気が格好いい。
プレゼントした時、彼はスライド式の機構を少年のように目を輝かせて喜びしばらく芯を出したり入れたりと遊んでいた。

付き合い始めたあの頃を思い出し、こんな風に彼の表情や手元を盗み見できるのならカフェデートも悪くないなと思いながら顔を上げると、彼は不思議そうな表情でこちらを見ていた。

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上記は全て妄想で、現実はとっくに大学を卒業しているし、試験前にカフェでお勉強デートもしたことはないけれど、来月はバレンタインという恋人たちのイベントがある。
チョコもいいけれど今年はペンを贈ってみてはいかがでしょうか。

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